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こころと科学、アートとサイエンス

経営を考えるときにときどき使われるフレーズです。ときどきというのは知っていて意識している人はしているが知らず意識していない人はまったく意識していないレベルということです。

しかし私はこのフレーズを忘れてしまうとなかなか上手く組織を運営できなくなるほど重要なことだと考えています。

こころやアートは数字や理屈では表せないこと、たとえば士気、関係性、直観、才能などであり、対する科学(サイエンス)とは数字や理屈で表せること、たとえば財務諸表、測定・計測、プロセスに沿って策定された戦略・計画などが該当するでしょう。

この2つが上手にバランスを取り続けなければ結果を永続的に出し続けるのは難しいのです。

こころやアートが欠けている会社の特徴はとにかく職場の空気が重いです。それでも小規模企業の場合はトップ1人の突出したパワーで十分会社を引っ張って行けているので業績は伸びているのですが、それも限界を迎えたとき伸びが止まります。

従業員たちは上に立つ人間の発する理屈に次ぐ理屈にうんざりし続けているため会社のために頑張ろうなどとはほとんど考えていないからです。それに気づかず来る日も来る日も正論を従業員に聞かせ続けるトップは多いです。とにかく正しいこと言えば従業員は動いてくれると信じているのでしょう。あるいはすでに自分と従業員とは良好な関係にあるため、あとは正しいことを言うだけであると考えているのでしょう。的外れもいいところであると言わざるを得ません。

対する科学(サイエンス)が欠けている会社は行け行けドンドンで非常に活気や勢いがありますが、戦略など意識して考えたことはなく各業務の計数管理もいい加減、各従業員が自分の会社には戦略がないのが問題だなどと言いながらも楽しく自分なりにやりがいを持って日々業務に取り組んでいます。こころやアートに欠ける会社と比較すると楽しい雰囲気ですが何かもったい感じは否めません。

こころやアートは自動車で言えばエンジンのように組織を動かすもの、科学(サイエンス)は動き出した車を制御するメーター類のようなものと言えます。

動かない自動車のメーター類の重要性をどんなに正しく強調しても意味はありませんし、メーター類のない自動車を動かすとどこへ向かうか分かりません。両方揃ってはじめてまともな運転ができるのです。

そういえば以前読んだヘンリーミンツバーグ(Henry Mintzberg)の書籍の中で「計画は左脳で、経営は右脳で」というタイトルの章がありましたが通じるものがあります。